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どこで購入するべきか

 楽器を選ぶ時にネックになるのが「価格」ですが、よくネットオークション等では弦楽器専門店よりも破格に安い楽器があったりして魅力的に思えたりします。しかし、個人売買やネットオークションなどの専門家を介さない売買は、本来するべきではない未修理・未調整というコスト削減をしているため、破格の安さで提供しているということを知っておいてください。

 専門家がチェックしていない楽器は故障を見逃されている場合が多く、その上必要最低限の調整がされていない事も多いので、後で様々なトラブルが起こる場合があります。

 よくある見逃されている故障としては、響板の剥がれやネックの角度が低くなっているもの、指板剥がれ、駒曲がり、上ナットや駒の弦溝が食い込んでいるもの、表板のテールピース下や指板下の割れ等々があります。(もちろんこれ以外にもたくさんあります)また、見ただけではわからないバスバー剥がれなども稀にあります。

 その上、数万円の低価格のバイオリンや、フランスやドイツの50年くらい前の安くて古い工場製品(専門店なら30万~50万円くらいで販売されているようなバイオリン)は、ネックが楽器に対して真っ直ぐ仕込まれていないものが当たり前で、まっすぐ仕込まれているものは過去に修理されたか、奇跡といっていいくらい稀です。

 また、素人仕事で修理されている楽器を幾度か見たことがありますが、きちんと修復するには通常の修理以上になおさなくてはいけない部分が増えるため、数千円で済んだものが数万円かかる場合もあります。

 そのような状態の楽器が、専門店よりも安く手に入るからと言って安易に購入すると、後で修理に多額の費用がかかってしまうのです。

 また、こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、

「演奏を教わっている先生から買わされた楽器がひどい状態だったので、修理に多額の費用がかかった」

 という噂はいまだにあります。

 弦楽器専門店は、不具合を事前にチェックして修理・調整をしているから割高なのです。

 個人売買やネットオークションでの購入が絶対悪いとは言いません。しかし、未修理・未調整の楽器は購入後の修理代や消耗品の交換によって正規販売されているものよりも費用がかかってしまう場合があるというリスクを十分納得した上で購入してください。

 そういったリスクが嫌な人や、楽器の見立てに自信の無い人は弦楽器専門店で購入するのが一番安心です。

 また、お世話になっている先生からの話はなかなか断りきれないでしょうが、なるべく間に専門店が入るようにすると安心できるのではないでしょうか。

 前置きが長くなってしまいました。

 次回からは本当に楽器の価格についてお話したいと思います。