12月に入り、本格的に寒くなって、街はクリスマス一色になってきましたね。
イタリアはキリスト教・カトリックの総本山「バチカン市国」のある国ですから、当然クリスマスを盛大に祝います。
ちなみにイタリアでは「Christmas」とは言わず「Natale」といいます。
12月25日に近くなると、別れ際の挨拶代わりに「Buone feste!」(よい祝日を!)と交わし合い、クリスマス期間中は「Buon Natale!」(クリスマスおめでとう!)と挨拶をします。
ところで、クリスマスはキリスト教のお祭りの一つなのはあなたもご存知ですよね?
じゃあ、何を祝う祭り?
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そう、イエス・キリストの誕生日です。
先程の「Natale」の意味はまさに誕生日です。(一般的には誕生日はCompleannoですが。)
動詞「nascere」(生まれる)の名詞変換で、小文字で「natale」と言うと「誕生日・創立記念日」となり、「Natale」と大文字で始まると「特定の誕生日、つまり特別な人であるイエス・キリストの誕生日」を指します。
クレモナでも日本と同様、11月に入ってから街中にイルミネーションが飾られ、長くなった夜を楽しもうとしています。
さて、先程「クリスマス期間中」と言ったのを覚えていますか?
イタリアではクリスマスは12月25日だけではありません。
では、どのくらいだと思いますか?
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12月24日のクリスマスイブとクリスマス当日だけ・・・
ではなく、クリスマスイブ(12月24日の日没)から1月6日の公現祭までを祝います。つまり、ほぼ日本での冬休みと同じくらいの期間です。
12月初めからその期間中、各教会では「Presepio(又はPresepe)」(プレゼーピオ又はプレゼーペ)と呼ばれる、キリストが誕生したときのシーンを再現した人形を使ったジオラマが飾られ、教会巡りをしてそれぞれのプレゼーピオを見て回るのも楽しみの一つです。それぞれの教会ごとに特色があり、誕生したてのイエスの人形のみのシンプルなものであったり、街を再現してある大きなものまで様々です。
Chiesa di San Nicola da Tolentino (Genova): Presepe
公現祭(Epifania)
東方の三賢者(カスパール・バルタザール・メルキオール)がユダヤの王が生まれたことを知らせる星(ベツレヘムの星:クリスマスツリーの上につけるあの星)を見て、その星に導かれイエスの元にやってきた三賢者がイエスに祝福をしたこの日(1月6日)を祝う祭りです。イタリアではこの祭りの日に「Befana」(ベファーナ)という魔女がやってきて、良い子にはお菓子を、悪い子には石炭をプレゼントする風習があります。
ベファーナの仮装
そのかわり昔はサンタクロースは来なかったようです。イタリアではサンタクロースのことをBabbo Natale(ナターレのお父さん)と呼びます。
Babbo Natale in una cartolina giapponese del 1914(1914年のサンタクロースが書かれた日本の絵葉書)
クレモナではベファーナもサンタクロースもあまり来ないようで、代わりに12月13日の聖ルチア(Santa Lucia)を祝う日の夜に、各々の家先まで聖ルチアが現れ、良い子にはお菓子を、悪い子には炭を置いていくという風習を今でも行っています。
聖ルチアは迫害で目を奪われ盲目となっているので、クレモナの子供達は彼女を導くロバが家先に訪れてくれるように、玄関先に干し草を置いて彼女が訪れるのを待ちます。ただし、彼女は姿を見られると、その者に灰を投げつけ彼女と同じ盲目にしてしまうため、彼女の姿を見てはいけません。ずいぶん酷いことをする聖人のようですが、親がプレゼントを置く姿を見られないためのお約束ですよね。
Quirizio da Murano: Santa Lucia e storie della sua vita(聖ルチアとその生涯)
ところでイタリアの歌で「サンタァールゥーチィーアァー」という歌詞の歌を聞いたことがある人は多いと思いますが、あの歌はナポリ湾の美しさを歌った歌です。聖ルチア教会の教区がナポリ湾沿岸にあり、あの辺りを「Santa Lucia」と呼ぶので、歌詞のサビに歌われているのです。
Oswald Achenbach: Festa del santa Lucia a Napoli 1874(ナポリの聖ルチア祭:1874年)
大人でもクリスマス同様、聖ルチア祭の日に親しい仲ではプレゼントの贈り合いをします。私の妻は、今年引退したクレモナのバイオリン製作学校で講師をしていたWanna Zambelli女史と親しくしていて、イタリアにいた頃はお互いに毎年聖ルチアの日に贈り物をしていました。
どうやら現在のクレモナではSanta LuciaとBabbo Nataleは、どちらも来る家があれば、それぞれどちらかしか来ない家もあるようです。でもその比率は、まだまだSanta Luciaが来る家が多いようです。
参考文献
Wikipedia
Presepe
Befana
Babbo Natale
Santa Lucia