サイトへ戻る

弦の選び方

現在バイオリン用の弦は様々なメーカーが沢山の商品を作っているので、どれを選んで良いか迷うこともあるでしょう。

そこで、今回は弦の選び方を考えてみましょう。

まずは弦選びに大切なことはその目的です。

特に今張っている弦に不満もない場合は、今張っている弦と同じものを張れば良いですよね。

でも、「切れた」とか「寿命が来た」とかのきっかけはどうあれ「違う種類の弦にしようと思う」ということは、多少なりとも現在の弦に不満があるか、他の弦に興味があると言うことですよね。

じゃあ、何に不満や問題、気になる点があるのか考えてみましょう。

価格?

弾きやすさ?

調弦のしやすさ?

寿命?

音色?

色々あると思いますが、まずは価格からお話していきます。

価格

バイオリンの弦は高価なものが多いです。値引きしてもらっても4本セットが¥5,000以上するのが当たり前。高いものは¥20,000以上するものもあります。

では信頼あるメーカーで低価格の商品はどんな物があるのか見てみましょう。

※ ここに載せている定価や価格はメーカーの価格変更やお店によって値引き額が違うので保証できません。大体の目安だと思ってください。また、税別価格の目安です。

broken image

Goldbrokat Optima社

E線用として使用している人が多いスチール弦のGoldbrokatですが、実はA・D・G線もあります。

定価が4本セットで¥2,490です。しかし、残念ながらE線以外を取り扱っているお店は少ないですね。

broken image

Prelude D'Addario社

イタリアにルーツを持つアメリカのメーカーD'Addario社のスチール弦。このメーカーはギターの弦が有名ですがバイオリン族用も作っています。セットで¥3,000くらいで買えます。

broken image

ASCENTE D'Addario社

同じくD'Addario社のナイロン弦。こちらもセットで¥3,000くらいで買えます。

broken image

Alphayue Thomastik-Infeld社

低価格のナイロン弦、定価がセットで¥4,200ですが、お店によっては3千円以下で買えることもあります。

broken image

VISION Thomastik-Infeld社

こちらもナイロン弦です。セットの定価は¥6,200ですが¥3,400くらいで販売しているお店もあります。なお、このVISIONには「VISION SOLO」や「VISION TITANIUM ORCHESTRA」、「VISION TITANIUM SOLO」という別の弦があり、VISIONより高価になるので注意してください。

broken image

GOLD Pirastro社

ガット弦は高いものが多いですが、最も低価格のものはこのGOLDです。それでもセットの定価が¥13,900ですから安くなっても9千円くらいですね。

broken image

EUDOXA Pirastro社

こちらもガット弦で、セットで定価¥16,800とGOLDより高いのですが、お店によっては1万円位で販売されています。

昔は低価格の弦と言えばスチール弦が当たり前だったのですが、近年はナイロン弦も安いものが発売され始めました。ただ、ガット弦は今でも安くて1万円を切るかどうかです。

しかし、ただ安いからと言って使ってみたら気に入らなかったということもあります。

特にスチールとナイロン・ガットでは大きく使用感や調弦の難しさが違うので、スチール・ナイロン・ガットの特徴をお伝えしておこうと思います。

なお、各弦の定義は「みんなが使っている弦」を見てください。

スチール弦 

  • 調弦がシビア 弦自体が伸びにくいためペグを少し回すだけで大きく音程が変化する。全弦にアジャスターを付けている人が多い。
  • 音量が大きく、はっきりした金属的な音色になる傾向にある。
  • 低価格なものが多い 安くない弦もあり
  • 耐久性が高く簡単には切れない。 E線は切れることもあるが他の弦は滅多に切れない。(汗などによって錆びることはある)
  • 演奏時に指が痛くなりやすい 張力が強く、細いため押さえる指に弦が食い込みやすい。指だけでなく駒にも食い込みやすいので薄い駒に使用するときは注意。

ナイロン弦

  • 調弦が簡単 適度な伸びがあるため。
  • 音色・音量は様々 多くの個性的な弦が発売されている。
  • 価格も様々 低価格から高価格まで様々。
  • 耐久性は(ガットよりは)ある 半年から1年が寿命だが、音色を気にしなければ数年間使用できる時もある。
  • 演奏しやすい 適度な伸びがあり太め(A・D・G線は1mmくらいの直径がある。)

ガット弦

  • 調弦は難しくないが音程が狂いやすい 温度・湿度に影響を受けて弦が伸びたり縮んだりするため。
  • 音色が最も良い(と言われる) 表現力が豊かで深みがあると言われるが、好みにより体感は個人差あり
  • 高価格 安くてセット1万円くらい。
  • 耐久性が低い 天然素材なので商品に差がある上、温度・湿度に影響を受けるため。1ヶ月から半年以下が寿命だが、張ってすぐに切れる時もある。
  • 演奏しやすい 適度な伸びがあり太め(A・D・G線は1mmくらいの直径がある。)

概ねこのような性質があり、弾きやすさ・調弦のしやすさ・寿命に関してはどの銘柄でも素材が同じならほぼ一緒です。

特にこの3つを重視するならナイロン弦を選ぶのが無難でしょう

音色

音色に関しては前回紹介したViolin String Reviewというサイトを参考にして頂くのが手っ取り早いと思います。

broken image

CleanーComplex:左に行くほど明瞭な音色で、右に行くほど倍音成分が豊かな音色

BrightーWarm:上に行くほど輝かしい音色で、下に行くほど温かみのある優しい音色

スチール弦ははっきりとした輝かしい音色で、ガット弦は優しい豊かな音色なのがわかる。

また、Thomastik-Infeld社は独自にサウンドチャートを公表しています。

broken image

上の図とは左右がBROAD-FORCED(広い-強い)のように違う表現で分類されている

どちらも中心、つまり基準となる弦をドミナントに設定して音色を判断しています。

分類方法が違うので2つの図を比べると違う部分もありますし、同じような評価もあります。また、上下はほぼ同じ判断基準のようですが違う評価もあります。

この様に音色というのは主観的なものなので演奏者によって捉え方が違います。そのため絶対的な評価は難しいでしょう。

これらはあくまで目安として、最終的には音色は自分で演奏して判断するしかありません

「違うじゃん!」と怒らないようにしてくださいね。

どうでしょうか。

弦を交換しようとしている方は参考にしてみてください。