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Antonio Stradivariの肖像④

さて、今回はクレモナでは最も有名なアントニオ・ストラディバリの銅像です。

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この銅像はストラディバリ広場(Piazza Antonio Stradivari)にある銅像です。

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写真中央あたりにストラディバリの銅像がある

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赤印のところがストラディバリ広場、右側に大聖堂があり、上の緑色の広いところがローマ広場

で、ちょっと調べたのですが、イタリアでは広場の名前や道の名前は住所でもありますので、日本の住所と同様に時代によって変わってきています。

16世紀末の頃は、まだアントニオ・ストラディバリは生まれていませんから当然違う名前です。

そこは「小さな広場」(PLATEA PARVA【ラテン語】)と呼ばれていました。

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16世紀末ではストラディバリ広場の場所はPLATEA PARVAと書いてある所

ローマ広場はサン・ドメニコ教会(S. Domenico)と修道院だった

Antonio Campi: Cremona fedelissima citta et nobilissima colonia de Romani

時代は下って19世紀末ではカヴール広場(Piazza Cavour)と呼ばれています。

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19世紀末、PLATES PARVAはPiazza Cavourとなり、

サン・ドメニコ教会と修道院はローマ広場(Piazza Roma)となっている

Gustavo Strafforello: La patria; geografia dell' Italia, Provincia di Cremona e Mantova

カヴールとは、イタリア王国首相だった「カヴールおよびチェッラレンゴおよびイゾラベッラ伯爵 カミッロ・パオロ・フィリッポ・ジュリオ・ベンソ(Camillo Paolo Filippo Giulio Benso, conte di Cavour, di Cellarengo e di Isolabella、1810 - 1861)」からついています。

カヴールはイタリア統一時に王国首相だった人物で、国内に共和派の突き上げ、王との確執、外からは大国であるオーストリア・フランス・イギリス・ロシアなどからの干渉という難題を抱えながら、卓越した外交術を駆使してイタリア統一を成し遂げた功績から、後世「神がイタリア統一のため地上に使わした男」の呼び名が付いたほどの偉人です。しかし、イタリア統一の最も偉大な功労者であるガリバルディやヴィットーリオ・エマヌエーレⅡ世からはかなり憎まれていたようです。

しかし、皮肉にもこの広場に通じる大きな道はヴィットーリオ・エマヌエーレⅡ世街道(Corso Vittorio Emanuele II)ですし、広場の中にはストラディバリ像ではなく、ヴィットーリオ・エマヌエーレⅡ世の記念碑がありました。

Oltre di queste vi sono in Cremona altre belle piazze, fiancheggiate da palazzi ed edifizi di buona architettura e fra queste crediamo opportuno ricordare la piazza Cavour, ove ora sorge il monumento a Vittorio Emanuele, adibita al mercato giornaliero della verdura e derrate;

La patria; geografia dell' Italia, Provincia di Cremona e Mantova, P.38

これらの広場の他にもクレモナには宮殿や建築物に囲まれた美しい広場がありますが、その中でもカヴール広場は特筆に値すると思います。現在は、毎日野菜や食料品の市場に使用され、ヴィットーリオ・エマヌエーレの記念碑が立っています。

この地図はストラディバリ没後200年祭が行われた1937年でも使用されていたようなので、ストラディバリ広場になったのは第二次世界大戦後のようです。

おそらくはこの像が置かれたときに広場の名前を変えたと思うのですが、情報が見つかりませんでした。また、判明した時に記事にしたいと思います。

次は石像です。

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この像は市民美術館(Museo Civico "Ala Ponzone")の中庭にあります。

この美術館には前回お話したように、昔ストラディバリ博物館が併設されていました。

この像はその名残とも言えるもので、ストラディバリ博物館があった頃は道沿いにある別の中庭にあったのですが、現在は市民美術館と図書館の入り口が向かい合っている中庭奥に移動しています。

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市民博物館の中庭、赤丸の所にストラディバリの像がある

こちらも情報が少なく、作者などはわかりませんでした。

次回は色々調べていくうちに見落としていた「これこそアントニオ・ストラディバリの顔ではないか?」と言われている絵を見ていきます。

出典・参考文献

Google Map

Antonio Campi: Cremona fedelissima citta et nobilissima colonia de Romani: 1582

Gustavo Strafforello: La patria; geografia dell' Italia, Provincia di Cremona e Mantova: 1890

Museo Civico "Ala Ponzone"