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18世紀の工具②

刃物

 18世紀の半ば、イギリスで始まった産業革命は徐々に他の国へと波及していったものの、イタリアへ伝播するのは19世紀の後半と、1世紀近くかかっています。

 そのため、ストラディバリの時代に使われた工具達は全てが手作り。現代から比べると精密とは言えないものもありました。

 その中で殆ど現代と違わない工具たちがありました。それらはいわゆる「刃物」で、鑿(ノミ)、スクレイパー(表面を削るための鋼の板で出来た工具)、鉋(カンナ)、鋸(ノコギリ) 等でした。

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Antonio Stradivari disegni modelli forme No. MS667, MS691

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フランス百科全書 第4部技術 8木材技術 木靴・樽・桶・車大工 すべての木工職人に共通している道具 図18、19

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フランス百科全書 第2部文化 5音楽・楽器:楽器  擦弦〔弓奏〕楽器製作用の諸道具 図22

 私が使っているものは以下のようなものです。

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 また、ストラディバリの時代のものではないですが、響板を削る時に使う豆鉋も残されています。フランス百科全書にも、同様のものが載っています。

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Antonio Stradivari disegni modelli forme No. MS655

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フランス百科全書 第2部文化 5音楽・楽器:楽器 擦弦〔弓奏〕楽器製作用の諸道具 図18、19、20

 これも私が使っているものは以下のものです。

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 どうでしょうか?

 どれも殆ど同じと言っても良いでしょう。

 実際に豆鉋は真鍮などの金属を使って自作する製作家もいるくらいですから、手作りのものが同レベルで存在してもおかしくありません。

 また、日本製の鑿は今でも鍛冶屋さんが作った手作りの物が市販されています。

 では鋸はどうでしょうか。

 バイオリン博物館には鋸は残されていませんが、フランス百科全書には記載があります。

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フランス百科全書 第4部技術 8木材技術 木靴・樽・桶・車大工 すべての木工職人に共通している道具 図21,23,75

 私が使っているものは以下になります。

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 これは冗談として。(いや、実際によく使っているのはこれなんですが・・・)

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 これらです。

 フランス百科全書にも載っていた真ん中のものは弓鋸と言って、日本以外の国では結構一般的な鋸です。日本の工具達は独自の進化を遂げたものが多く、鋸もその一つです。鉋もそうですが、鋸は一般的に日本のものは引く時に切れるようになっていて、その他の国では押す時に切れるようになっています。そのため、構造に若干の違いが生まれていますが、基本構造は同じです。

 こちらも電動工具のバンドソー以外は18世紀のものと大差ありません。

 以上のように、手工具、特に刃物は18世紀と現代ではほぼ同じでした。

 現代は先程見たバンドソーのように電動工具があるとはいえ、今でも手工具は多く使用します。

 以上の結果で、18世紀と現代の手工具の使用状況もほぼ一緒と言えるでしょう。

 次回は現代と姿が大きく違うものとして、工具と言っても切削を行うものではなく、測定を行う「測定、計測機器」についてお話ししたいと思います。

参考文献

 Fondazione Museo del Violino Fausto Cacciatori監修 「Antonio Stradivari disegni modelli forme」

 大阪府立図書館 デジタル画像 フランス百科全書 図版集: http://www.library.pref.osaka.jp/France/France.html