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バイオリン製作コンクール

バイオリンの製作技術を競うコンクールがあるのをご存知ですか?

音楽のコンクールといえば、素晴らしい演奏者がしのぎを削る、各国・各地域で行われているものが一般的ですが、ヨーロッパを中心にバイオリンの製作コンクールがいくつかあります。

その中でも有名なのがバイオリン製作のメッカとも言えるイタリアのクレモナで行われる、通称「トリエンナーレ」と呼ばれる国際バイオリン製作コンクールです。

トリエンナーレって言葉は「あいちトリエンナーレ」のように芸術関係のイベントやコンペで使われる事が多いので、なんとなく芸術関係の言葉だと思われている方もいらっしゃると思います。

しかし、「トリエンナーレ(Triennale)」とはイタリア語で単に「3年おき、3年に一度」と言う意味で、その言葉自体に芸術関係の意味はありません。

そしてこの言葉通り、このクレモナで行われる製作コンクールは3年おきに行われます。

正式名称は 

Il Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari(伊)

で、無理やり日本語に訳すと

3年おきの国際バイオリン製作技術コンクール アントニオ・ストラディバリ

になります。

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なので、本来ならショパンコンクールのようにストラディバリコンクールと呼ばれるべきなのではないかと私は思うのですが、なぜかこのコンクールは「3年おき」の方のトリエンナーレが通称です。

実際、他の製作コンクールは数年おきでも作曲家の名前を冠していたりします。

さて、そのトリエンナーレは今年開催される予定です。

イタリアでは新型コロナウイルス(COVID19)の感染拡大が世界的にも深刻なために、開催が危ぶまれていましたが、この困難な時こそあえて開催することで業界全体の活気を取り戻す原動力にしようという強い意向で開催されることとなりました。

In questo periodo così difficile e complesso più che mai emerge la necessità di affrontare l’oggi pensando al futuro. Progettando e rilanciando il meglio per la nostra città e per tutti. Ecco il senso del presentare il Concorso Triennale internazionale di Liuteria, in cui anche il Museo del Violino, gioiello e motore propulsore di cultura e progetti, è protagonista ancora una volta a livello internazionale.(後略)

Gianluca Galimberti
Sindaco di Cremona
Presidente della Fondazione Museo del Violino

この困難で複雑な時代にあって、未来を見据えて今日と向き合う必要性がこれまで以上に浮かび上がっています。自分たちの街、そしてすべての人のために、最高のものを企画し再出発します。これは、文化や事業を支える宝石であり原動力でもあるヴァイオリン博物館が、再び国際的なレベルで主役となる「トリエンナーレ・国際バイオリン製作コンクール」を開催することの意味です。(後略)

ジャンルカ・ガリンベルティ
クレモナ市長
財団法人バイオリン博物館理事長

ということで、トリエンナーレは今回も開催される予定になりました。

ところでコンクールというと、神経質で、ピリピリした空気が漂いそうなものですが、楽器づくりは約2ヶ月以上といった長期間が必要ですし、楽器を提出した時点でもう運を天にまかせるしかありません。

そのためか、開催中は緊張感が漂うというよりは、全国から楽器と供に製作家も集まるので、どちらかというとお祭りのような感じになります。

色々とハードルはありますが、なんとか私もこのお祭りに参加しようと思っています。

ということで、今回から製作コンクールについてお話をしていきたいと思います。

出典・参考文献

Concorso Triennale 2021